<< 『お喋りセッション』 | main | ☆『ゲイルズバーグの春を愛す』――こんな世界はつまらないと >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
『無限論の教室』――無限は続くよどこまでも
評価:
野矢 茂樹
講談社
¥ 756
(1998-09)
「無限は数でも量でもありません」とその先生は言った。ぼくが出会った軽くて深い哲学講義の話

第1週──「無限について講義するのですが、(略)無限ということで、どういうイメージをもっていますか。ええと、あなた、あの、お名前は何というのですか」
「タカムラです」
ふーん。彼女はタカムラさんっていうのか。
「タカムラさん。うん。無限について何かイメージ、おありですか?」
「とくには……」
「『無限』という日本語は知っていますか」
「ええ、まあ」
「じゃ、何か言えるでしょう」
「1番大きい量のことでしょうか」
なぜか、この答えを聞いてタジマ先生はとてもうれしそうな表情をした。
「それ、それはですね、いちばん愚劣な答えです」──本書より
 いやあ、あやふやな理解のまま読み終わった本をあとになって整理してみるのは大変ですね。とかなんとか、はなっから言い訳みたいなこと書いちゃってますけど、『無限論の教室』です。著者は同じく講談社現代新書で『哲学の謎』って本も書いてて、どちらも読みやすく(媚びすぎ、とも言われるほど)、ただ『哲学の謎』はテーマは面白いんだけどそれらからどうさらに踏み込んでいくかってのがあんまり示されてなかったのがちょっと不満でした。その点、こちらのほうが具体的な名前がそこそこ挙がってて親切だったかな。

 最初にちょろっとだけ、論の内容じゃなくて本の作りのこと。『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』もそうだったけど、これまた大学生の学問における興奮みたいなのが描かれてたりして、ちょっと遠い目をしてしまいました。いいなあ、大学。

 でまあ、無限論なんですけど、高校数学をやってない僕でもまあなんとなく理解はできた、かなあ? 第八週の桃金飴の辺りから、正直よくわからなくなっちゃったんですけど、まあなんとなくは。
 最終的には、あの有名で名前だけは知ってた「ゲーデルの不完全性定理」の話になるんですけど、たぶんいちばんの収穫(というところで語るなら)がこれでした。いやもう、まったく知らなかった……のはほとんどの話がそうなんだけど、有名な定理だしそれが読めたので、素直にへえぇーって。

 しかし話が戻りますが、なんか久しぶりに「(つまりこういうことか)という気持ちと、(つまりどういうことなんだ)という気持ちが交錯」(P.228)しました。まあだいたい学術系の本読むときには、行きつ戻りつしながら頭を悩ませてるんですけど、概念操作を頭の中でがんばって追いかけるのが久しぶりで、頭熱くなりました。最後のほうは、上に引用した「ぼく」と同じように、感動しつつ、ついていけてるようないないような、ああ、大学時代を思い出すなあ。いいなあ。

 あと、これもいまだに落ち着いてないけど「『cut off 切り取ること』と『cut into 切り分けること』を区別しなければいけない」(P.30)って話はずっとひっかかるものがあります。いつか何かに結びつくと面白いんだけどなー。

 最後に、やっぱ僕の頭ぜんぜん論理的じゃないんだなと思ったので、論理学を勉強するのもいいなと思いました。なんたってかっこいいじゃないですか、仮定法とか背理法とか排中律とか!
| 学術・教養的な本 | 16:36 | comments(0) | trackbacks(1) |
スポンサーサイト
| - | 16:36 | - | - |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://tomohiro-h.jugem.jp/trackback/156
トラックバック
現代数理哲学の冒険者たち
  ちょっと普段読まないようなものを読んだので、ご報告を。   野矢茂樹 『無限論の教室』 講談社学術文庫  登場人物がなぜか登場する(永井均の一部の本みたいに)、一風変わった哲学書です。「タジマ先生」の講
| 院生の天窓 | 2007/04/28 12:13 AM |
みんなのブログポータル JUGEM