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『空の境界』上・下
評価:
奈須 きのこ
講談社
¥ 1,155
(2004-06-08)
JUGEMテーマ:読書

 TRPG,TRPGとうつろにつぶやき続けるにはちょっと言いにくい言葉を繰り返し始めてから数週間経ったころ、とりあえず家でも外でも(外でもだって!?)ルールブックを読むのを飽きてきたので、なにかそれっぽいものを読もう、と思って読み始めました。買ったときの文章を見てみると、
 現代(伝奇)物TRPGの参考になるかもと思い購入。/ノベルズのほうを買った。もちろん安いので。つい先日、マイミクのツカサ先生に「からのきょうかい」と読むことを教えてもらった。ずっと「そらのきょうかい」だと思ってました。/僕の妄想の中では「周知のように『空の境界』においては〜〜〜」とか言われるぐらい、TRPG界隈で有名なので、読んどかないとつらい思いをしそうだし。重ねて言いますが、僕の妄想の中の話です。
とかなんとか考えて買ったみたい。とてもばかだね僕は。
 まず書いておきたいこと。大学入学後からライトノベル的なもの(=それまでの自分、といってもいい。ライトノベルは大学以前の自分を形成する大きな要素だったので)を否定しまくってきたのが、ここに来て心境の変化もあったのかなかったのかわかりませんが、文章が僕の許容ライン(というとすごいえらそうだけども)ぎりぎりをずーっと走るような、それどころかちょっとラインを出たり入ったりを繰り返すようなスレスレな感じで、読み始めて最初のほうずっと不思議な感覚で、読み進んでいくうちにだんだんとそれがわからなくなってきて、「はっ、そうか! これが『空の境界』か!?」とかなんとか考えてみたりして(あっはっは)、まあそんな感じでなんだかみょうに気持ちよかった変な読書体験をしました。
 作品についておおざっぱな感想は、全体として均すとそこそこ面白かったというところ。「全体として〜」ってのは、面白いと思った話とそうでもないと思った話(正確に言うと、ちょっと拍子抜けしたとでも言うほうが近いかな)で結構分かれたからです。そんなこんなであとはざっくりネタバレがあるかもしれない感じでいっちゃいましょう。
 えーと、面白かった話ってのを順を追って。
「俯瞰風景」。一話完結のドラマでいうと、時系列的には最初の話じゃなくて、事件の描き方関わり方なんかのスタイルが安定したころの話が一章に来る。なかなか面白い。くどい語り口は好きなのでその辺も問題なし。ラストのちょい萌えポイントもまあいいんじゃないかな。
「殺人考察」(前)。クライマックスへの伏線。それ自体はどうこうってこともないけど、ヒロインの描き方は結構よかった感じ。まあ萌えっぽい感じもまあまあ。
「痛覚残留」。90年代中盤〜後半ぐらいの、ひどくいたはずかしい感じを丁寧に書いた話みたいな印象。この話のヒロイン藤乃の、コクトーにこだわるわけのくだりはちょっとなんだかなあと思わなくもないけど、それもまたこそばゆく、読みながらその感じを楽しんでたように思う。戦闘シーンが舞台を含めてかっこよかった。
「矛盾螺旋」。一番面白かった話。文章量も一番あったし、複数視点が上手く機能してたし、調査篇的な部分も面白く、解決篇的な部分も面白かったな。最大の敵はここで出てきちゃうし、この話の主人公も一番好きだし。
 巴はがりがりにレディメイドな存在(物語現在時の巴の状況だけでなく、本当の巴もまた“いかにもな”という意味でそう思った)な上に、いいように操られて、式には振られるし、感情や記憶は偽物だし、いまの自分の存在も嘘だ。それを突きつけられてぶっ壊れちゃうんだけど、でも、それでも、というあの感じはとてもいい。物語(の世界、またその中の存在)に焦がれ、だけどその不可能さを突きつけられつづける悲しさにも似た、それでもどこかに希望を求めてしまう感じがすごくよかった。
 一応微妙なところを挙げるとすれば、ラストの式の萌えポイント(まあお約束なんだけど)がちょっと。いやーなんだろうなー、TRPGとかだとぜんぜん納得なんだけど、小説でああいう風に展開されちゃうとどうもなー。いままではまだよかったのに、さすがに急というかとってつけた感が強すぎる感じがしちゃって。ギャップといえばそうなのかもしれないんだけど、うーん……。ていうかどうも、小説に限らずストーリーのあるもので恋愛がからんでくるとちょっと冷めてしまうことが多いんだよなー。といっても少女漫画とかは平気だったりするし、なにが平気でなにがだめなのか悩んでしまう。

 でまあそんなことはさておき、この話で自分は盛り上がりすぎちゃって、以降の話も別にそんなに悪くはないんだけど、下り坂になっちゃったのが残念で、上のほうで書いた「全体として均すと」ってのはそういうことなんです。
「忘却録音」はアラヤ亡きあとどうも盛り上がれないし、いまさら妹の話をされてもみたいなところも正直あったりして。「殺人考察」(後)は織がいなくなってしまうくだりは結構よかったけど、式が事件の犯人じゃなかったのが残念でもあり、それがこの話の前の断章というかプロローグというか間奏曲というかの部分でわかっちゃうのも残念であり、いまさら先輩とか出てこられてもみたいなところもこれまた正直あったりして。
 あでもエピローグは結構好きです。解説で笠井潔が書いてたように、恋愛的には正確にいえばアンチ・クライマックスだし、微妙なところですれ違う思いがあって切なさを感じます。あれ、なんだろ、失恋ものが好きとかいうわけじゃないんだけどなー。うーん……。

 まあざっくばらんにこんな感想で、まとめもなにもなく終わります。
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