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☆『博士の愛した数式』
博士の愛した数式
博士の愛した数式
小川 洋子

 書店の店員なんだし読んどこうかと思って買いました。えへへ、ごめんなさい。しかも古本で買いました。えへへへへ。

 とりあえずなんか言っといたほうがいいような感があるので(妄想)言っておくと、別に泣きませんでした。でもよかったです。ところで「泣けたかどうか」が重要っぽいのはなんなんでしょうね。結構不思議です。
・6/10追記。大塚英志が(たしか)『物語消滅論』で、小説が泣くための刺激(物)・サプリメントになっている、みたいな指摘をしていたけど、それ以外にも思うところがある。僕自身、上であんなことを書いていながらも(いるところからもわかるように?)、ある小説を語るときに、泣けたとか感動したとかよかったとか悪かったとかしか吐ける言葉がないのだ。つまりは批評の言葉を持たないということなんじゃないかと思う。さしあたっては非常に素朴な体験した体感した言葉(いやー、泣けた。感動した!)しか言えないことは歯がゆい。せめて、たくさん本を読んでそれらを並べて考えて言葉を吐いてみるぐらいのことはしてみたいんだけど……。

 ロマンチックな数学の話だと思ったんですが、数学を突き詰めて考えていけばロマンチックにならざるをえないんじゃないかな、と思いました(江夏の背番号とか友愛数とかの話のロマンチックとは違う意味でです。それらのエピソードももちろんよかったですけど)。掘り下げて、掘り下げていったときに見えた神の織り成す文様としか思えないものに対して、不思議さや何故が抑えきれないと思うんですよね。ちょっとというかだいぶ違うことではあるんだろうけど、宇宙を科学的に解析していった結果、どうしても「始まりの前」や「終わりの後」、あるいは「全ての外」なんてものを考えざるをえないのと同じように、そこにはいわゆる文系的な哲学や神学が混ざるんじゃないかな、と。
 先日記事を書いた『一度死んでみますか?』でこんな文章がありました。「(“非線形フック微分方程式の特異解の構造”を研究している)彼がある日、藤沢で路上ライブをやっている青年を見て、思わず嫉妬したそうです。へたくそなミュージシャンの周囲に十五人ぐらいの聴衆がいて、自分の論文をわかってくれる人の数より多かったからです。」(P.181) これはまあ単純にちょっと笑っちゃう話ですけど、この数学者という孤高な研究者の姿は魔術師の姿と重なって見えたりします。ダンセイニの『魔法使いの弟子』の師匠は理解者の数で嫉妬、つまり名声欲は強くはないだろうけど、解説で訳者の荒俣宏がこんなことを書いている。
 <師匠>のように、この世の善と悪を超越して、ひたすらに魔道にはげむ賢者こそ、真の魔法使いの名に値するのではありますまいか。(P.358)

 確かに師匠はラモン・アロンソの影を、やや騙すような形で奪ってはいるけれど、しかし彼はしっかりと代償は払う、つまり学問を授けているし、師匠の興味はラモン・アロンソを害することではなく、いまだ知らぬ魔術の領域へとひたすら向けられている。現代の話だとクローン技術なんてのも、科学者の興味は倫理的な問題ではなく「それが可能かどうか」という点に向けられているように、師匠もまた魔術に対してそのような姿勢をもっているよう。まあここでいきなり数学者と科学者をくくっちゃってるのはご愛嬌で許してちょうだいませ。
 んでまあなにが言いたいかといいますと、数学者って魔法使いだよなーってこと。だってほら数学者にしか見えない(人知を超えた存在・観念を信じちゃいそうな)世界の法則があって、それを解析したり操ったりするなんて、もうまさに魔法じゃありません? 強引かなー。
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